元極功法習い始めの頃―(10)

私は、もともとエレクトロニクスの開発・設計などをしていた職業柄、形のない物、科学で証明されていないものは、一切信じない人間でした。ましてや、神仏などを拝んだり、神社仏閣に行ったりする人々に対して、多少の軽蔑めいた感情を持っていました。

「自分の能力に疑問を持っていたり、自信のない者達が神仏などに頼ろうとするのだ。」と、心の底で思っていたのです。

あるとき、どの本だかは記憶にありませんが、その信用していない範疇にしっかりと入るはずの気功の本を読んでしまいました。

その本の中には、ラジオ体操程度の身体の動きを毎日少しずつすると、難病が完治したり、超能力が付いたりすると書いてありました。

「そんな馬鹿なことは、あり得ないだろう。それが本当なら、NHKで永年やっているラジオ体操の小父さんなどは、とっくに仙人か魔法使いかになっているはずだ。」
と、思ったものでした。

有形有象の、実態の掴める物理や化学現象でなければ、信じることが出来なかったのです。
 (つづく)